2024 デジタルアーカイブ産業賞 受賞内容

ビジネス賞

株式会社Stroly

イラストデジタルマップStroly(ストローリー)

https://biz.stroly.com/

前身の「ちずぶらり」から発展させ、「Stroly(ストローリー)」をグローバルに通用するジオ×デジタルアーカイブのサービスに成長させている。実に15年近くの時間をかけ、高度な研究を背景にしたサービスを世界的に支持される技術インフラとして成長させている点を評価したい。

株式会社新建築社

新建築データ

https://data.shinkenchiku.online/

1925年創刊の建築専門雑誌『新建築』バックナンバーの誌面データをデジタル化し、有料のデジタルアーカイブとして提供している。現在、建築設計事務所で「新建築オンライン/新建築データ」を利用していないということは考えられないほど広く普及しており、成功している事例である。

大日本印刷株式会社

デジタルアーカイブ資料を活用した教育ビジネスの開拓~ 鑑賞システム「みどころキューブ®」の展開 ~

https://www.dnp.co.jp/biz/case/detail/20175990_4968.html

全国の自治体や美術館・博物館などが保有するデジタルアーカイブ資料を学校教育に活用していけるよう、 

「みどころキューブ®」を授業の学習ツールとして展開。博物館法改正を背景に、地域の文化財や資料の情報を活用し、 

博物館・図書館・文書館などの施設と教育機関のよい懸け橋になっている。 

3次元空間を使ったインタラクティブなICTツールで、生徒の学ぶ意欲を高め、知識・理解を深めることに役立っている。 

既に収蔵品管理システム「I.B.MUSEUM SaaS」(早稲田システム開発株式会社)とのAPI連携が可能となっているなど、蓄積されたデジタルアーカイブコンテンツの利活用が益々広まることが期待される。

株式会社あるやうむ

ふるさと納税NFT

https://furu.alyawmu.com/

デジタルデータの原本性を証明する技術であるNFTを有効に活用し、ふるさと納税の返礼品として、地域にまつわるアート作品をNFT化するサービスを自治体に提供することで地域活性化とビジネスを両立させており、多くの需要を生み出している点を評価したい。

ハコスコ、太陽企画、VoxelKei、スタジオダックビル

メタバースマスターズ

https://hacosco.com/meta/

文化財や観光地などの現実空間の再現を目的としたデジタルアーカイブやメタバース空間制作を中心とした専門チーム「メタバースマスターズ」(ハコスコ社、太陽企画株式会社、VoxelKei氏、スタジオダックビル合同会社)によるフォトグラメトリ技術と3DCGを活用した取り組み。ハイエンドなデジタルアーカイブやメタバース空間を制作するソリューションを提供し、各地域で実績をあげている。

技術賞

OMデジタルソリューションズ株式会社

デジタルアーカイブ向けカメラ「Rシステム」

https://biz.om-digitalsolutions.com/lp/image_sol.html

博物館法が改正され、博物館の事業として所蔵資料のデジタルアーカイブの需要が高まっているなか、文化財のデジタルアーカイブに特化したデジタルカメラの開発と提供は、小規模な博物館や教育機関などが限られた財源の中から設備調達を行う際に、選択肢のひとつになり、アーカイブの促進に寄与することが期待される。

株式会社モルフォAIソリューションズ

FROG AI-OCR

https://frog-ai-ocr.morphoai.com/

国立国会図書館がCC BYで公開するNDLOCRをコアエンジンとした「FROG AI-OCR」を提供することにより、明治〜昭和初期までの複雑な資料を高い精度でテキスト化することができるようになった。

近代文字を高精度で読み取ることができる技術とソフトウエアの開発によって、今後の紙資料のテキスト化や活用推進に貢献することが期待される。

株式会社ジーン、株式会社相互技研

日本文化財VRミュージアム

https://www.xeen.co.jp/works/ownbrand/

フォトグラメトリの技術により、文化財を超高精細に3Dモデル化し、細部まで精緻に再現するとともに、VRプラットフォームであるSteamで『日本文化財VRミュージアム』提供し、懐中電灯、ルーペ、断面表示器などをもちいてユーザーがその細部を詳しく見ることができるようになっており、一段高度なVRミュージアムを実現している。

貢献賞

大網白里市

大網白里市デジタル博物館

https://adeac.jp/oamishirasato-city/top/

常設の展示施設を持たず、インターネットを中心に資料を公開している機関としては、全国で初めて博物館法上に位置付けられた登録博物館として、令和6年3月29日付けで千葉県教育委員会の認定を受けた。デジタルアーカイブだけの博物館が国や県から認められたことは快挙であり、業界への貢献は大きい。

アート・工芸作品のプラットフォーム「B-OWND(ビーオウンド)

www.b-ownd.com

5年にわたって日本のアート・工芸作品を広く発信するためのプラットフォームを提供し、ブロックチェーン、NFTという技術と組み合わせ、担い手の育成、文化の発展に寄与してきた。ブロックチェーン技術を用いて作品の真贋証明や所有権管理をデジタル化することにより、より信頼性の高いアーカイブを実現している。

北海道大学総合博物館、北海道立北方民族博物館、むかわ町穂別博物館、札幌市博物館活動センター、札幌市円山動物園、群馬県立自然史博物館、北九州市立自然史・歴史博物館

非公開標本デジタルデータベース「みんなの博物館」

https://minna-museum.jp/

単一の博物館ではなく、複数の博物館(北海道大学総合博物館、北海道立北方民族博物館、むかわ町穂別博物館、札幌市博物館活動センター、札幌市円山動物園、群馬県立自然史博物館、北九州市立自然史・歴史博物館)が連携し、収蔵標本を館をまたいで閲覧できるなど、複数の様々な館種の博物館が相互連携する試みは国内初。標本研究のプロセスも含めて館同士の連携や交流も強化されるとともに、博物館法改正に伴うデジタルアーカイブ化のデータ活用の施策として好事例であり、今後のデジタルアーカイブ活用のモデルになりうる。

奨励賞

株式会社勉誠社

2010年代前後からのデジタルアーカイブ本の出版活動

https://bensei.jp/

2009年の研谷紀夫著「デジタルアーカイブにおける『資料基盤』統合化モデルの研究」以降、10冊以上のデジタルアーカイブに関する書籍を出版。まだ認知度の薄かったデジタルアーカイブへのプレゼンスをつくり続けた点を評価したい。

公益財団法人渋沢栄一記念財団および開発メンバー

みんなで古写真【渋沢栄一伝記資料】

https://denkiphoto.shibusawa.or.jp/minna/

本サイトでは登録をすれば誰でも、写真にまつわる5つの情報(人物、場所、翻刻、写真、参考情報)を、加えることができる。他の参加者も確認できるように「どうしてそのような情報がわかったのか」という根拠などを示すことで情報精度を高めている。

本取り組みは、市民参加型のシステムが構築できており、運用ルールが遵守されれば、他の地域資料アーカイブへの展開が見込まれる先進事例と言える。

学びながら、地域資料アーカイブへの積極的な参加が見込まれる素晴らしい実験的取り組みである。

株式会社MIERUNE

れきちず

https://rekichizu.jp/

誰にでもわかりやすく馴染みのある現代の地図デザインで歴史地図を閲覧できるサービス。当時の絵図をもとに様々な文献を参照しながら道筋や地名、海岸線などを配置したもので、地図タイルとして任意のオブジェクトを重ねて利用できる。歴史地名に関するオープンデータと組み合わせることで、様々な応用利用が考えられる。個人が始めたサービスの運営を所属会社に移管し、地図の対象範囲も更に広げていくとのことで、今後の展開にも期待したい。

株式会社誠勝

産学連携教育を想定した史料デジタル化支援サービス

https://sei-syou.com/plus/univ-inc-education

史資料の電子化・資料整理・必要な機材選定支援のみならず、デジタル化された史資料を自治体・教育機関・地域関係機関と連携したキャリア教育へ利活用するなど、デジタルアーカイブを起点とした長期持続的な価値創造を目指している。確固として実績に基づいた企業による取り組みである点を評価したい 。

株式会社サンク・アール

デジタルアーカイブを活用した博物館での展示造形

https://www.cinq-art.co.jp/

博物館法改正に伴う博物館でのデジタルアーカイブが加速する中、今後ますます増えていくと予想されるアーカイブデータの展示造作への展開は、デジタルアーカイブの活用施策における重要なニーズである。アートワークのプロフェッショナル集団として、博物館での造形物展示としてのデジタルアーカイブデータ活用を推進しており、「リアルな造形物の制作」ノウハウを有し顕著な実績がある。