2022 デジタルアーカイブ産業賞 受賞内容

ビジネス賞

  • 「ボリュメトリックビデオ技術の芸術・芸能分野における協業」キヤノン株式会社/日本アイ・ビー・エム株式会社
  • 「Startbahn Cert.」スタートバーン株式会社

技術賞

  • 「8K文化財プロジェクト デジタル調査会(救世観音像)」日本放送協会
  • 「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-O, オブジェクトストレージ サービス」富士通株式会社

貢献賞

  • 「三次元計測分野における出張計測体制の整備と先端機材積極導入による高精度データ品質の維持」有限会社原製作所
  • 「HON.jpを継承し、ニュースメディアとしての持続的展開を図る」特定非営利活動法人HON.jp
  • 「クラウド型収蔵品管理システム『I.B.MUSEUM SaaS』」早稲田システム開発株式会社

奨励賞

  • 「オープンデータ構築基盤『Datashelf』」インフォ・ラウンジ株式会社
  • 「路上博物館」一般社団法人路上博物館

【受賞理由】

ビジネス賞

◆「ボリュメトリックビデオ技術の芸術・芸能分野における協業」キヤノン株式会社/日本アイ・ビー・エム株式会社

デジタルアーカイブ分野でも注目される3D空間表現において、空間全体を3Dデータ化する技術であるボリュメトリックビデオを、4Kカメラ100台という本格的なスケールで展開し、並列計算専用サーバーと広帯域ストレージを組み合わせて、高品質で高速なサービスを実現した。
能「葵上」のほか、chelmico、歌舞伎公演などのライブ配信にも用いられており、ビジネス展開が期待される。
参考サイトURL:
https://global.canon/ja/news/2021/20210702.html
https://jp.newsroom.ibm.com/2021-07-02-Canon-and-IBM-Japan-start-collaborating-in-the-arts-and-performing-arts-field

◆「Startbahn Cert.」スタートバーン株式会社

・デジタルアーカイブ産業振興の鍵は、二次流通の促進である。しかし、マネタイズが難しく進んでこなかった。
・スタートバーンのブロックチェーンの技術を活用することで、マネタイズの部分における課題を解決することができる。具体的には、作品の来歴を適切に管理していくことで、二次流通時に発生する利益を作者本人に還元していくことができる。さらに、贋作が多いともいわれるデジタルコンテンツ市場では、「本物である」という証明は作品の付加価値を高め、消費者に訴求する要素としても捉えられる。
・スタートバーンのサービスは、デジタルアーカイブ産業の二次流通の基盤として活用されていくことが期待されるとともに、こうした基盤サービスを、民間のビジネスとして実現していることが高く評価される。
参考サイトURL:https://startbahn.jp/service/startbahn_ownbusiness/

技術賞

◆「8K文化財プロジェクト デジタル調査会(救世観音像)」日本放送協会

8K超高精細3DCGモデルを、2つの会場で同期させてコントローラーで操作可能にするという高度な技術を実現した。これにより、現地調査でもできないレベルの細部のズームアップや視点を遠隔地からも得ることができ、デジタルアーカイブ利活用にも応用可能な技術の実用性を示した。
参考サイトURL:https://www.nhk.or.jp/strl/news/2021/4.html

◆「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-O, オブジェクトストレージ サービス」富士通株式会社

デジタルアーカイブされたデータをAI・機械学習などの先進IT技術と組み合わせて利用できるプラットフォームを提供することで、アーカイブデータの新たな活用方法を示した。また、アーカイブデータの格納方法自体においても、データのアクセス頻度に基づき、オンプレミスとクラウドにまたがる自動階層化ソリューションを提供し、デジタルアーカイブ格納における先進的な技術手法を提供している。
これらの新しい技術をクラウドサービスとして提供することで、例えば放送業界におけるアーカイブメディアの再活用、製造業における知財情報の効率的な永年保管など数多くのお客様の先進事例を支えている。
参考サイトURL:https://jp.fujitsu.com/solutions/cloud/fjcloud/-o/

貢献賞

◆「三次元計測分野における出張計測体制の整備と先端機材積極導入による高精度データ品質の維持」有限会社原製作所

同社はデジタルアーカイブ専属の企業ではないが、デジタルアーカイブの入り口である「高品質な3Dデータの取得」を実現している企業であり、公表可能な実績数こそ多くないが、製造業以外においても国内の博物館、寺社、大学、教育委員会からの受注実績を多く持つ。3D計測分野のデジタルアーカイブを支える技術とインフラを保有する企業としての活動を評価したい。
参考サイトURL:https://hara-sss.co.jp/

◆「HON.jpを継承し、ニュースメディアとしての持続的展開を図る」特定非営利活動法人HON.jp

株式会社hon.jp(2004年~2018年)が運営してきたニュースブログ事業「hon.jp DayWatch」をNPO法人日本独立作家同盟が継承して、後継のニュースブログ「HON.jp News Blog」として発展させている。なお、現在は本事業のためのNPO法人HON.jpが設立され、活動している。
扱うテーマは多様であるが、「本」というメディアを中心に据え、精力的な取材活動を展開している。電子出版の話題も多いが、同時にデジタルアーカイブ関係ニュースの数少ない主要メディアとなっている。特に事業性のあるニュースへのフィーチャーも少なくない。ここでの扱われ方がデジタルアーカイブへの社会の視座を明らかにするところもあり、貴重なメディアである。
参考サイトURL:https://hon.jp/news/

◆「クラウド型収蔵品管理システム『I.B.MUSEUM SaaS』」早稲田システム開発株式会社

システムの導入障壁を低くするために、2010年より月額固定料金制のSaaS型で提供し、ほぼ全ての都道府県で導入されている。データベースの管理、公開に留まらず、利活用のための各種アプリ(地図による街歩き、ミュージアム展示ガイドなど)を提供するなど、1992年創業以来、一貫して「博物館のための情報システムの開発」を推進している。
特に中小規模館でのデータ管理・公開業務の効率化に大きく貢献し、2021年6月末時点で、全国の400館近い施設に導入されている点を評価したい。
参考サイトURL:http://www.waseda.co.jp/

奨励賞

◆「オープンデータ構築基盤『Datashelf』」インフォ・ラウンジ株式会社

スマートシティ構想でのデジタルアーカイブの実装と展開において要となる、データ連携基盤モデルを数多く、具体的に実現している点が評価できる。今後の更なる展開に期待したい。
参考サイトURL:
https://datashelf.jp/
https://info-lounge.jp/works/#opendata

◆「路上博物館」一般社団法人路上博物館

博物館事業に焦点を当て、そこで所蔵される様々なコンテンツをどのようにデジタルデータ化していくべきか、ということから、それを用いてどのような体験を提供するか、までを幅広く支援している。アナログコンテンツのデジタルデータ化と、その幅広い活用はデジタルアーカイブ業界に必須のものであり、当団体の取組は今後も強く推進されるべきものと考える。
参考URL:https://rojohaku.com/